Single Victory Club general comment

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ワールドチャンピオン2人を下し、担ぎ上げてもらうパストール・マルドナド


Pastor Maldonado,2012 Spanish GP Winner

1回しか勝てなかった男たち ≪総評≫

モータースポーツ世界最高峰のF1に辿り着いた若者の全てが、まずは1勝することを望む。絶対に。
65年間で105人のGPウィナーが生まれ、その全員が一度は入会したのが SVC である。
他にも「一勝もせずに引退した者達の会」や「チームメイトに予選で全勝クラブ」等F1には様々なクラブがある(?)が、F1ドライバーの全員が絶対に入会を希望するのは SVC を置いて他にない。
ところが、いざ入会すると立ち所に退会したくなるのも SVC ならでは。直ぐさま2勝目を挙げたいのもまた当然。

こうして全32人の会員をまとめて見てみると、近い内に退会するだけの実力を備えていたにも関わらず若くして命を落としたために永久会員となった者のなんと多いことか。
1950年代の頁で述べたインディ500勝者を除く23人の現役中に限っても、レース中の事故での死亡は7人、病気での落命が一人、事故での負傷が原因でF1を去った者が2名。残る13人が真っ当に引退、またはシートを失ってのフェードアウトである。
言わばこの13人こそが、SVC の

パストール・マルドナド(ベネズエラ)

Pastor Maldonado,2012 Spanish GP Winner2012年第5戦スペインGP / ウィリアムズでの優勝。
ベネズエラ人としての史上初優勝は、ウイリアムズにとって2004年のファン・パブロ・モントーヤ以来8年振りの優勝。

F1デビューに先駆ける事6年前の2005年、F1モナコGP前座のフォーミュラ・ルノー3.5レース中に、イエロー・フラッグを無視した結果マーシャルにぶつかり背骨を折る重傷を負わせる大事故を起こした。モナコGPの主催者はマルドナドをモナコ市街地サーキットでのレースから永久追放するという処分を下したものの、父親が怪我をしたマーシャルの回復及びリハビリ費用を負担する事を約束したことで、F1に於いてもモナコGPに参戦可能になっている。この危険行為により4戦の出場停止処分。

2010年GP2チャンピオン。

2011年ウィリアムズからF1デビュー。第6戦モナコGPでは残り5周まで入賞圏内の6位を走行していたがルイス・ハミルトンと接触しリタイア。

2012年、シーズン前にウィリアムズからマルドナドの持ち込みスポンサーPDVSAへの請求書がネットに流出、金額は2,940万ポンド(当時の日本円で約36億円)。F1史上最高額のペイ・ドライバーなどと揶揄された。
シーズンが始まると、開幕戦オーストラリアGPで予選Q3進出を果たすなど、幸先の良いスタートを切り、決勝でもファイナルラップまで6位を走行していたが、ターン7でクラッシュ。
第5戦スペインGPでは再び予選Q3に進出し2番手のタイムを記録、ハミルトンが予選失格になったことで初のポールポジションを獲得。決勝レースではスタートでフェラーリのフェルナンド・アロンソに先行を許すものの、ピットストップでポジション奪回に成功、そのまま抑え切り初優勝を果たした。
第12戦ベルギーGPでは予選3番手を獲得するもセッション中にニコ・ヒュルケンベルグの走行を妨害したとして6番手に降格、更に決勝ではジャンプスタートをしてしまいドライブスルーペナルティを受けることになった。だがペナルティ消化前にマルシャのティモ・グロックと衝突しフロントノーズを破損、リタイア。これにより次戦はベルギーGPで受けるはずだったペナルティに加え更にグロックとの接触のペナルティにより10グリッド降格の処分が下された。
この年の夏、初優勝後初めて母国ベネズエラに凱旋、VIP、五輪金メダリスト、大勢のファンに見守られる中でスポーツ祝典のハイライトとしてウイリアムズのF1マシンで12周のデモ走行が予定されていた。しかし走行開始後間もなくスピン、クラッシュ、そのままデモ走行を終える羽目になってしまった。

彼固有の顕著な特徴として、クラッシュを引き起こす回数、頻度の多さのみならず、クラッシュにまつわる奇妙な言動(「僕がクラッシュすれば大きなニュースになるが他のドライバーがクラッシュしてもニュースにはならない」「限界点を見極めようとすればそれを超えることだって必要で僕には毎回限界を超えるだけの肝っ玉がある」)や、単独か他人を巻き込んだか(who)を問わず、どうしたらそこでクラッシュするのか(when/where/why)という原因の不可思議さと、どうしたらそんな状態にクラッシュするのか(how)というダイナミックな挙動が挙げられる。
最後に、この “パストール5W1Hの謎” に迫るべく、彼にとっては極々一部のクラッシュ写真を掲載する(クリックで拡大)。

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